幼女選記#2 (曖昧さ回避)

かんきゅう【緩急】
① おそいことと、はやいこと。ゆるやかなことと、きびしいこと。 「 -自在」 「 -よろしきを得る」 「蓋し時勢の-を察し/文明論之概略 諭吉」
② 〔「緩」には意味はない〕 危険や災難のさしせまった場合。 「いったん-あるときは」

(大辞林 第三版)

 

 ファンを名乗る読者からお題が届いた。「”緩急をつける”と表現されるモノについてどう考え、試合に落とし込んでいるか。」といったものだ。抽象的な表現であり、手当たり次第に話をしてしまうと無限に発散してしまう恐れがあるので、まず字義を確かにするべく辞書を引いた。冒頭に示してある文はその結果だ。スポチャンに当てはめるべき「緩急」の意味は①で間違いないだろう。今日は遅い/速い、緩い/厳しいの考え方について、僕なりの解釈を書いていく。

 スポチャンにおいて緩急はフェイントから枝分かれした亜種のようなものだと思う。フェイントを別の言葉で表現するなら相手の注目を逸らして自分の攻撃を通すことと言える。対して緩急は相手が自分の攻撃を受けるときのリズムを”緩”に合わせることで”急"に対応できなくさせること、と表現できるだろうか。どちらも、伏線を張って相手と自分にズレを作る攻撃である。しかし、フェイントは瞬間的にズレを作るのに対し、緩急は瞬間的なものにも使えるし、試合時間を使った”長期的”なズレを作るのにも使えると考えている。

 瞬間的な緩急の使い方と言えば、連打がやりやすいだろうか。遅い小手を打って相手に小手を避けてもらうと、相手の構えがズレる。相手のズレにつけ込んで速い打ち(例えば縦面)を打ち込む。殆どの場合、緩→急へのチェンジオブペースになるが、その逆もまた有効なのではないだろうか。例えば、自分の攻撃が防がれそうなとき、振りのスピードを緩めることで相手が反撃のためにガードが外すまで攻撃のタイミングをズラすことができる。

 次は長期的な緩急の使い方だ。多くの人は1分の試合時間の中で相手のリズムを掴み攻撃に備える。そこでステップに緩急を持たせることで相手とのタイミングをズラすことができる。ツーステップは緩急の代表的な技の一つと言える。

 もう一種類の緩急があると考えている。前後、間合いの緩急だ。その場で手を伸ばせば届く、半歩/一歩踏み込めば届く等、間合いにはいくつか種類がある。自分が一歩踏み込めば届く間合いにいるとき、半歩踏み込む打ちを何度かすれば相手はこの距離では届かないものだと錯覚する。そこで一歩踏み込んだ打ちをすれば相手は反応できないことが多い。

 

 一方で、緩急には弱点がある。出技だ。相手に対応してもらうことを攻撃を成立させる前提としている以上、攻撃の芽を潰す行動に出られると弱い。出技でなくとも、”緩”の攻撃をした瞬間にカウンターをもらうとかなり辛い。中途半端に緩急を使おうとすると潰されてしまうことが多いので注意が必要である。

 

 最後に、緩急の具体的な練習法について考えてみたい。と言いたいところだが、これといった練習法が思いつかない。ミット打ちで連打の練習をするときに緩急をつけるくらいか。あとは日々の周り稽古等で自分の動きに対する相手の反応をよく観察して有効な緩急を探してみてほしい。

 

 議論、感想、意見や緩急の具体的な練習法と次のブログのネタを募集しています。(幼女)